2020年 UXPA ユーザーエクスペリエンス大会 全国一等賞
デジタル技術と紙の教科書を有機的に統合し、中小学校の教師と生徒に新しい学習体験を提供する過渡的イノベーション。ARモデル・クラス連携・デジタル拡張コンテンツを一つのエコシステムへ。
01 — 課題の発見
01
生物の臓器構造、化学反応の過程など、平面図だけでは空間的理解が難しい内容が多数存在する。
02
語文の教科書はレイアウトが過密し、古典文(文言文)の注釈や古詩の暗記メモを書くスペースが圧倒的に足りない。
03
「先生に質問する勇気がない」「みんなの前で間違えるのが怖い」——学習の疑問が解消されないまま蓄積される。
02 — リサーチ
1002
有効アンケート回答
72.3%
教科書に不満を感じている
68.5%
AR学習に興味がある
89.1%
ノートスペースが不足
中国全土31省から師生・保護者を対象に調査を実施。学生、教師、保護者それぞれの視点から教科書の利用状況と課題を定量的に把握した。
03 — 設計の意思決定
DECISION 01 — 過渡的イノベーション
カリキュラムの全内容を紙に保持しつつ、デジタルは「補助・拡張」の役割に徹する。発展地域と未発展地域の双方に対応できる普遍的な設計。
→ 紙の教科書は残す。デジタルはその上に重ねる。
DECISION 02 — ARコア機能
生物の心臓・腎臓・呼吸器などの図解にAR技術を適用。教科書の挿図をスキャンすると回転・ズーム可能な3Dモデルが出現し、教師の授業課件としても直接投影できる。
→ 平面を立体に。理解の次元を一つ上げる。
DECISION 03 — UX判断
「先生に質問する勇気がない」という痛点に対し、クラス内の学習サークルに匿名提問機能を設計。教師側では生徒の疑問が集約され、授業での重点解答に活用される。
→ 質問の敷居を下げることで、学びの質が上がる。
DECISION 04 — サービスデザイン
版式密集問題に対し、デジタルだけでなく物理的解決策も採用。専用ノートは行間を広げ古典文(文言文)注釈スペースを確保。詩歌マスキングテープは暗記を日常の中に自然に組み込む。
→ UXデザインはデジタルに閉じない。物理も設計対象。
04 — デザイン成果
05 — 振り返りと学び
大規模リサーチの設計が思考を変えた。
1002名という規模のアンケートを設計・分析した経験は、デザイン判断に「根拠」を持たせることの重要性を体感させてくれた。「直感でそう思う」ではなく「データがそう示している」から設計する——この考え方は以降のプロジェクト全体に影響を与えている。
デジタルと物理の両面からアプローチする視点。
「ノートが書けない」という痛点に対して、アプリの機能で解決しようとするのではなく、物理的な専用ノートという解決策を選んだ。UXデザインは必ずしもデジタルで完結する必要はない——サービス全体を設計する視点がここで養われた。
概念止まりの限界と、リアルな制約の認識。
このプロジェクトはコンペティション作品であり、実際に学校現場に導入されたわけではない。教育部の政策・出版社との連携・AR端末の普及格差など、実装にはまだ多くのハードルがある。「良いデザイン」と「実現できるデザイン」の間を埋める難しさを、チームで深く議論したことが現在の設計姿勢の原点になっている。
06 — プロジェクト詳細
TEAM
∙ 李世豪 / ビジュアル・UXデザイン
∙ 崔辰皓 / プロダクトマネージャー
∙ 梁振甲 / ユーザーリサーチ
∙ 丛瑞龙 / ビジュアル・映像
∙ 王浩 / プロダクト・UIデザイン
AWARDS
∙ UXPA 2020 全国一等賞
∙ UXPA 最優秀製品企画賞
TIMELINE — 2020
3月
選題確定、競合分析、1002名アンケート実施。
3-4月
情報設計、視覚規範、3Dモデル・ハイファイUIプロトタイプ制作。
4月
プロダクト完成、UXPA提出 → 全国一等賞受賞。
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